出店戦略とは、単に「どの物件に店を出すか」を決めることではありません。

市場規模や競合、家賃から、その場所で事業が成立するかを判断する。
その地域のお客様から選ばれる理由をつくる。
出店後に競合が増えても、利益を維持できる戦い方を考える。

この一連の設計が、出店戦略です。

明鏡堂では、出店戦略を次のように定義しています。

出店戦略とは、立地戦略・ブランド戦略・競争戦略を一貫させ、店舗が地域で選ばれ続ける状態をつくるための経営戦略である。

人通りが多い場所に出店しても、競合が多すぎれば売上は分散します。

十分な市場があっても、お客様に選ばれる理由がなければ来店にはつながりません。

開業直後に繁盛しても、競合への対応を誤れば、数年後には価格競争に巻き込まれます。

店舗出店の成否は、一つの施策では決まりません。

立地、ブランド、競争という3つの戦略が、同じ方向へ機能しているかどうかで決まります。

その方向とは、自社の実力に合った商圏で、確実に地域ナンバーワンになることです。


出店戦略と立地戦略の違い

出店戦略と立地戦略は、同じ意味で使われることがあります。

しかし、本来は区別して考える必要があります。

立地戦略

立地戦略は、出店候補地の市場規模、競合数、家賃、交通条件、視認性などを分析し、その場所で事業が成立するかを判断するものです。

主に「どこに出すか」を扱います。

ブランド戦略

ブランド戦略は、その地域のお客様から、競合ではなく自社を選んでもらう理由を設計するものです。

主に「なぜ選ばれるのか」を扱います。

競争戦略

競争戦略は、出店後に競合とどのように戦い、長期的に利益を維持するかを決めるものです。

主に「どう勝ち続けるか」を扱います。

出店戦略

出店戦略は、この3つを統合した全体設計です。

つまり、立地戦略は出店戦略の一部であり、出店戦略そのものではありません。

良い物件を見つけるだけでは、出店は成功しません。

その場所に適した顧客、商品、価格、店舗体験、販促、競合への対応までつながって初めて、出店戦略として機能します。


なぜ多くの新規出店は失敗するのか

店舗の出店が失敗する原因は、単に「立地が悪かったから」とは限りません。

多くの場合、失敗は次の3つのどこかで起きています。

1.そもそも市場が足りない

商圏内に十分な顧客がいないケースです。

人口が少ない、対象顧客が少ない、利用頻度が低い、競合が多すぎるなどの理由で、店舗が必要とする売上を確保できません。

努力不足ではなく、構造的に売上の上限が低い状態です。

2.選ばれる理由がない

市場はあるものの、競合との違いが伝わっていないケースです。

商品、価格、接客、店舗デザイン、広告などを個別に改善しても、誰に何を提供する店なのかが曖昧であれば、お客様の記憶には残りません。

結果として、近い店、安い店、有名な店が選ばれます。

3.競合との戦い方を誤る

出店時には成功しても、その後に競合が増え、利益が低下するケースです。

特に、自社より規模の大きな競合と、価格、品ぞろえ、広告量で正面から戦うと、経営資源の差で不利になります。

反対に、小さな競合を放置し、自社の商圏内で成長させてしまうこともあります。

出店戦略では、この3つの失敗を出店前から想定します。

出店戦略を構成する3つの柱

1.立地戦略

その場所で事業が成立するかを計算する

立地戦略の目的は、感覚的に「良さそうな場所」を探すことではありません。

その場所に出店した場合に、売上が固定費を十分に上回り、利益を確保できるかを判断することです。

明鏡堂では、特に次の3つを重視します。

  • 市場規模
  • 競合数
  • 家賃を中心とする固定費

足元商圏を最初に見る

店舗ビジネスの売上は、基本的に店舗周辺の商圏から生まれます。

SNSで話題になり、遠方からお客様が来店する店舗もあります。しかし、それを前提に事業計画を立てるのは危険です。

安定した売上をつくるには、まず店舗の近くにいるお客様から選ばれなければなりません。

明鏡堂では、徒歩や車でおおむね5分程度の範囲を「足元商圏」として重視します。

業種や地域によって範囲は変わりますが、大切なのは、店舗からの直線距離ではなく、実際の移動時間で考えることです。

同じ半径1キロメートルでも、次の条件によって来店しやすさは変わります。

  • 幹線道路を横断する必要がある
  • 河川や線路で商圏が分断されている
  • 坂道が多い
  • 駐車場へ入りにくい
  • 渋滞が発生しやすい
  • 駅の反対側にある
  • 通勤や買い物の動線から外れている

地図上では近くても、生活者の感覚では遠い場所があります。

そのため、商圏は円を描くだけでは判断できません。


市場規模を計算する

市場規模を考えるときは、人口だけを見てはいけません。

人口が多くても、自社の対象となる顧客が少なければ、実際の市場は小さくなります。

一次判定では、次のような考え方を使います。

商圏市場規模の基本的な考え方

商圏内の対象顧客数
× 年間利用回数
× 1回当たりの平均利用額
= 商圏内の年間市場規模

たとえば、商圏内に対象顧客が5,000人いるとします。

1人が年間4回利用し、1回当たりの利用額が5,000円であれば、理論上の年間市場規模は次のようになります。

5,000人 × 4回 × 5,000円
= 1億円

ただし、この1億円をすべて自社が獲得できるわけではありません。

既存の競合、代替サービス、顧客の移動、認知率、自社の供給能力などを考慮する必要があります。

市場規模は、売上予測の答えではありません。

あくまで、その地域に十分な需要があるかを確認するための出発点です。


競合数ではなく「実質的な競争」を見る

競合分析では、同じ業種の店舗数だけを数えてはいけません。

お客様が同じ目的で比較する選択肢は、すべて競合になり得ます。

たとえば、ランチ需要を狙う飲食店であれば、同じ業態の店だけでなく、コンビニ、弁当店、社員食堂、ファストフード、宅配サービスも代替競合になります。

美容室であれば、同じ価格帯の美容室だけでなく、低価格店、高単価サロン、訪問美容、セルフケア商品も一部の需要を奪います。

競合は、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

直接競合

同じ顧客に、同じような商品やサービスを提供している店舗です。

間接競合

商品やサービスは異なっていても、同じ利用目的を満たす店舗です。

代替競合

店舗を利用しないという選択肢も含め、お客様の支出や時間を奪う存在です。

市場規模を単純に店舗数で割るだけでは、正確な判断はできません。

それでも一次判定として、次の考え方は有効です。

商圏市場規模 ÷ 実質競合店舗数
= 1店舗当たりの理論市場

この理論市場が、自社の損益分岐点を大きく下回る場合、その地域への出店は慎重に考える必要があります。

家賃は「何日分の売上で払うか」で考える

家賃が高い場所には、人通りや認知などの利点がある場合があります。

しかし、家賃が高いことと、自社が儲かることは別の問題です。

家賃を判断するときは、月額だけを見るのではなく、次のように考えます。

月額家賃 ÷ 1日当たりの想定売上
= 家賃を支払うために必要な営業日数

たとえば、1日当たりの想定売上が5万円の場合を考えます。

月額家賃が10万円なら、家賃を支払うために必要なのは2日分の売上です。

月額家賃が50万円なら、10日分の売上が必要です。

後者では、営業日の多くを家賃の支払いに使うことになります。

さらに、人件費、原価、水道光熱費、広告費、借入返済、設備維持費なども発生します。

売上が高く見えても、固定費が重ければ利益は残りません。

重要なのは、家賃が安いか高いかではなく、想定売上に対して負担が適正かどうかです。


良い立地とは「自社に有利な場所」である

一般的に、駅前、繁華街、幹線道路沿いなどは良い立地と考えられています。

しかし、すべての店舗にとって良い立地とは限りません。

一人客を短時間で回転させる業態には、駅前が適しているかもしれません。

一方、家族客が長時間滞在する店舗では、駅からの近さよりも、駐車場、入りやすさ、店内の広さが重要になることがあります。

したがって、良い立地とは、有名な場所でも人通りの多い場所でもありません。

自社の顧客、商品、価格、利用目的に合い、競合より有利に戦える場所です。


2.ブランド戦略

お客様に選ばれる確率を高める

事業が成立する立地を選んでも、お客様が自動的に来店するわけではありません。

商圏内に需要があっても、店舗を知られていなければ、比較の対象には入りません。

知られていても、他店との違いが分からなければ、選ばれる確率は上がりません。

明鏡堂では、ブランド戦略を次のように考えています。

ブランド戦略とは、お客様の意思決定を誘導し、競合ではなく自社を選んでもらうための戦略である。

売上を考えるうえでは、次の3つの要素が重要です。

  • 認知率
  • 配架率
  • プレファレンス

認知率(そもそも知られているか)

認知率とは、商圏内の対象顧客のうち、どれだけの人が自社の存在を知っているかということです。

お客様は、知らない店舗を選べません。

そのため、まずは足元商圏の中で、店名、場所、提供サービス、選ばれる理由を知ってもらう必要があります。

看板、店舗外観、チラシ、地域媒体、Webサイト、地図検索、SNSなどは、そのための手段です。

ただし、広告を一度見せるだけでは、強い記憶は残りません。

店舗の近くを通るたびに目にする。
検索したときに何度も表示される。
地域の人との会話で名前が出る。

こうした接触の積み重ねによって、お客様の頭の中に記憶が蓄積されます。

配架率(利用できる場所に存在しているか)

配架率とは、本来、商品がお客様の手に届く場所に置かれている割合を意味します。

店舗ビジネスでは、商圏内に店舗が存在し、お客様が無理なく利用できる状態にあるかという考え方に置き換えられます。

どれだけ認知が高くても、店舗が遠ければ利用されません。

反対に、店舗が近くても、道路の反対側から入りにくい、駐車しにくい、営業時間が生活時間と合わないという理由で利用されないこともあります。

複数店舗を展開する場合は、既存店の商圏を重ねるだけでなく、まだ自社が届いていない地域へ配架を広げる視点も必要です。

出店とは、単に店舗数を増やすことではありません。

お客様が利用できる範囲を広げることです。

プレファレンス(競合の中から選ばれる確率)

プレファレンスとは、お客様の選択肢の中で、自社が選ばれる確率です。

たとえば、ある地域で美容室を探すお客様の頭の中に、5店舗の候補があるとします。

その中で、自社が最有力候補として思い浮かぶのか、比較対象の一つにすぎないのかによって、来店確率は変わります。

選ばれる確率を高めるには、競合との違いを明確にする必要があります。

そのために行うのが、3C分析です。

  • Customer:お客様は何を求めているか
  • Competitor:競合は何を提供しているか
  • Company:自社は何を提供できるか

この3つを重ね、次の条件を満たす価値を見つけます。

  • お客様が求めている
  • 競合が十分に提供できていない
  • 自社が継続して提供できる

これが、自社のPOD、つまり差別化ポイントになります。


差別化は「違うこと」ではなく「選ぶ理由」である

他店と違う商品を出せば、差別化できるわけではありません。

お客様が価値を感じない違いは、選ぶ理由にならないからです。

たとえば、飲食店が珍しい食材を使用していても、お客様が求めているのが短時間で食べられることなら、その特徴は主な選択理由にはなりません。

反対に、商品自体は一般的でも、

  • 子ども連れでも気を遣わず利用できる
  • 仕事帰りに短時間で利用できる
  • 初めてでも相談しやすい
  • 専門知識がなくても選びやすい

といった価値が、強い選択理由になる場合があります。

差別化は、企業側が言いたいことではなく、お客様が選ぶ理由から考えます。


Who・What・Howを一致させる

ブランド設計では、次の3つを明確にします。

Who

誰に提供するのか

年齢や性別だけでなく、利用場面、悩み、目的、同行者、時間帯まで考えます。

What

どのような価値を提供するのか

商品そのものだけでなく、利便性、安心感、時間短縮、楽しさ、専門性なども含まれます。

How

どのように伝え、提供するのか

店舗デザイン、接客、商品構成、価格、広告、看板、Webサイトなど、すべての接点を含みます。

この3つが一致していないと、ブランドは弱くなります。

たとえば、郊外のファミリー層を対象にしているのに、店舗が小さく、駐車場がなく、一人客向けの広告を行っていれば、戦略は矛盾します。

ブランドは、広告表現だけでつくるものではありません。

立地、商品、価格、接客、空間、発信が一貫することで形成されます。


ブランドに必要な3つの条件

強いブランドには、次の3つが必要です。

独自性

競合との違いがあり、自社を選ぶ理由が明確であること。

一貫性

店舗、商品、接客、広告などで伝える価値が揃っていること。

継続性

同じ価値を継続して提供し、お客様の記憶に蓄積させること。

頻繁にコンセプトを変えると、ブランドの記憶は蓄積されません。

一度決めた言葉を守るだけではなく、経営環境が変わっても、提供価値の軸を保つことが重要です。


3.競争戦略

出店後も利益を維持する

出店は、開業日がゴールではありません。

出店後には、新しい競合の参入、価格の変化、顧客ニーズの変化、人材不足、原価上昇などが起こります。

競争戦略とは、こうした変化の中で、店舗が5年、10年、20年と利益を生み続けるための戦い方を決めるものです。

力相応一番化(勝てる範囲を定めて一番になる)

競争戦略で最も重要なのが、力相応一番化です。

これは、自社の資金、人材、商品力、知名度、運営能力に合った範囲を定め、その範囲で一番を目指す考え方です。

小規模な店舗が、最初から全国一位を目指す必要はありません。

まずは、店舗周辺の足元商圏で一番になる。

その後、隣接する商圏へ広げる。

勝てる範囲を小さく定め、経営資源を集中することで、地域内での認知率と選ばれる確率を高めます。

広い地域へ薄く広告を出すよりも、足元商圏で繰り返し接触した方が、記憶に残りやすくなります。

商品やサービスも、すべての人に対応するより、特定の顧客にとって圧倒的に選びやすい状態をつくる方が強くなります。


経営資源の小さい競合には「包み込み」

自社より規模や経営資源の小さい競合が参入した場合には、相手の特徴を放置しないことが重要です。

競合が新しいキャンペーンを始めた。
特定のサービスを打ち出した。
地域内で積極的な広告を始めた。

このとき、相手だけの強みとして定着する前に、自社も対応可能な施策を展開し、相手の優位性を無効化します。

ただし、すべてを無条件に模倣するという意味ではありません。

自社のブランドを壊さない範囲で、競合の成長要因を減らし、自社の商圏に参入しにくい状態をつくります。

これが「包み込み」の考え方です。


経営資源の大きい競合には「一点突破」

自社より資金力、店舗数、広告力、知名度で上回る競合に対して、正面から同じ戦いをしてはいけません。

大手と同じ価格にする。
大手と同じ品ぞろえにする。
大手と同じ広告を出す。

この戦い方では、経営資源の差がそのまま結果に表れます。

大きな競合に対しては、相手が対応しにくい顧客やニーズに集中します。

たとえば、

  • 大手が効率化のために対応できない細かな要望
  • 市場全体では小さいが、特定地域では需要のある商品
  • 専門知識を必要とする相談
  • 個別対応や継続的な関係が重視されるサービス
  • 大手の標準化と相性が悪い利用場面

といった領域です。

すべてで勝とうとせず、一点に経営資源を集中させます。

これが「一点突破」の考え方です。

3つの戦略は別々に決めてはいけない

立地戦略、ブランド戦略、競争戦略は、個別に正しくても、互いに矛盾していれば機能しません。

たとえば、ファミリー層が多い郊外へ出店したにもかかわらず、駐車場がなく、一人客向けの店舗設計をしていれば、立地とブランドが一致していません。

高価格帯の専門サービスを提供するのに、価格だけを強調した販促を行えば、ブランドと競争戦略が矛盾します。

資金力の大きい競合が多い地域で、競合と同じ商品、同じ価格、同じ訴求を行えば、立地選定の時点で不利な戦いを選んでいます。

反対に、次の3つが一致すると、店舗は強くなります。

  • 自社が勝てる市場を選ぶ
  • その地域のお客様に選ばれる理由をつくる
  • 自社の力に合った戦い方を選ぶ

これが、明鏡堂が出店戦略を3つの統合として捉える理由です。

出店戦略を策定する8つの手順

手順1.出店の目的を明確にする

最初に、なぜ出店するのかを明確にします。

売上を増やしたいのか。
既存店の商圏外へ進出したいのか。
ブランド認知を高めたいのか。
新しい顧客層を獲得したいのか。

目的によって、適切な立地や店舗規模は変わります。

目的が曖昧なまま物件を探すと、条件の良さそうな物件に判断を引っ張られます。

手順2.対象顧客と利用場面を定める

年齢や性別だけでなく、どのような状況で利用する人なのかを考えます。

  • 一人で利用するのか
  • 家族で利用するのか
  • 通勤途中に利用するのか
  • 休日に目的を持って来店するのか
  • 緊急性の高い利用なのか
  • 比較検討に時間をかけるサービスなのか

利用場面が明確になると、必要な立地、営業時間、駐車場、店舗面積、価格帯が見えてきます。

手順3.商圏を定義する

徒歩、車、公共交通機関など、実際の来店手段をもとに商圏を設定します。

地図上の半径だけでなく、道路、線路、川、坂道、渋滞、生活動線を確認します。

昼間人口と夜間人口の違いにも注意が必要です。

住宅地では夜間人口が重要ですが、オフィス街では昼間人口が売上に影響します。

手順4.市場規模を算定する

対象顧客数、利用頻度、平均利用額を使い、商圏内の市場規模を計算します。

過去の自社実績がある場合は、既存店の顧客構成や来店頻度を基準にすると精度が上がります。

新規事業の場合は、公的統計、業界資料、現地調査、競合の客数観察などを組み合わせます。

手順5.競合を分析する

競合の店舗数だけでなく、次の項目を確認します。

  • 価格帯
  • 主な顧客層
  • 商品やサービス
  • 店舗規模
  • 営業時間
  • 立地
  • 駐車場
  • 口コミ
  • 広告や販促
  • 混雑状況
  • 強みと弱み

競合が多くても、すべてが強いとは限りません。

反対に、店舗数が少なくても、強いブランドが市場の大部分を押さえている場合があります。

手順6.損益分岐点を確認する

家賃、人件費、原価、水道光熱費、広告費、借入返済などを整理し、必要売上を算出します。

そのうえで、

  • 必要な客数
  • 必要な客単価
  • 必要な回転率
  • 家賃を支払うための売上日数

を確認します。

必要客数が現実的でない場合は、物件条件、店舗規模、商品構成を見直します。


手順7.選ばれる理由を設計する

対象顧客、競合、自社の強みを比較し、誰にどのような価値を提供するかを決めます。

選ばれる理由は、一文で説明できる程度まで明確にします。

説明が長くなりすぎる場合は、コンセプトが絞り込めていない可能性があります。


手順8.出店後の競争を想定する

出店時点の競合だけでなく、成功した後に何が起こるかを考えます。

  • 同業者が近隣へ出店する
  • 大手が類似サービスを始める
  • 価格競争が起きる
  • 広告費が上昇する
  • 人材獲得が難しくなる

競合が動いたときに、何を維持し、何を変えるのかを事前に考えておきます。

出店を判断するためのチェックリスト

次の質問に、明確に答えられるかを確認してください。

  • 出店の目的を一文で説明できるか
  • 対象顧客と利用場面が明確か
  • 商圏を実際の移動時間で定義しているか
  • 商圏内の対象顧客数を把握しているか
  • 昼間人口と夜間人口の違いを確認したか
  • 市場規模を金額で試算しているか
  • 直接競合、間接競合、代替競合を把握しているか
  • 競合の数だけでなく強さも確認したか
  • 必要売上と損益分岐点を算出しているか
  • 家賃を何日分の売上で支払うか確認したか
  • 自社が選ばれる理由を一文で説明できるか
  • 立地と店舗コンセプトが一致しているか
  • 大手競合と同じ土俵で戦っていないか
  • 出店後に競合が参入した場合の対応を考えているか
  • 出店を見送る基準が決まっているか

答えられない項目が多い場合は、物件契約を急ぐ前に、出店計画を再検討する必要があります。

出店戦略でよくある誤解

人通りが多ければ売れる

人通りが多くても、その人が対象顧客でなければ売上にはつながりません。

通行量だけでなく、誰が、何の目的で、いつ通るのかを見る必要があります。

駅前なら成功しやすい

駅前は認知を得やすい一方で、家賃や競争も高くなります。

駅前立地に向く業態もあれば、駐車場や広い店舗が必要な郊外型の方が有利な業態もあります。

競合がいない場所は有望である

競合がいない理由が、需要の不足である可能性があります。

競合不在を好機と判断する前に、市場そのものが存在するかを確認する必要があります。

SNSで遠方から集客できる

SNSは有効な集客手段ですが、継続的に遠方客だけで店舗を支えるのは簡単ではありません。

まずは足元商圏で安定した売上をつくり、その上で広域からの集客を加える方が、再現性の高い経営になります。

良い商品なら立地は関係ない

商品力が強ければ商圏は広がることがあります。

しかし、お客様が存在しない地域や、来店負担が大きすぎる場所では、商品力だけで不利を覆すことは困難です。

広告を増やせば売上は伸びる

広告は、既にある需要と選ばれる理由を増幅する手段です。

市場が小さい、競合との差がない、店舗が利用しにくいという問題は、広告だけでは解決できません。

客単価や広告は戦略ではなく手段である

店舗経営では、客単価、リピート率、広告反応、SNSのフォロワー数などが重視されます。

これらは重要な指標ですが、出店戦略そのものではありません。

市場が小さければ、客単価を上げても売上には上限があります。

選ばれる理由がなければ、広告を増やしても比較される人数が増えるだけです。

強い競合と同じ商品を提供していれば、リピート施策を行っても価格競争から抜け出せません。

個別施策を考える前に、次の問いに答える必要があります。

  • どの地域で戦うのか
  • 誰に選ばれるのか
  • 何を理由に選ばれるのか
  • 競合とどのように戦うのか

この答えがあって初めて、広告、商品、価格、接客、販促が正しく機能します。

明鏡堂が考える出店戦略

明鏡堂では、出店戦略を物件選びだけで終わらせません。

市場規模、競合、固定費から出店の成立性を判断する立地戦略。

お客様の意思決定を誘導し、自社が選ばれる状態をつくるブランド戦略。

出店後も利益を維持し、自社の力に合った範囲で一番を目指す競争戦略。

この3つを、一つの方針のもとで設計します。

立地だけを見ても、選ばれる理由がなければ売れません。

ブランドだけをつくっても、市場がなければ事業は成立しません。

出店時に成功しても、競争戦略がなければ利益は続きません。

3つの戦略が一貫し、地域ナンバーワンという同じ方向へ機能すること。

それが、明鏡堂の考える出店戦略です。

出店戦略に関するよくある質問

出店候補地は、何か所くらい比較するべきですか

一つの物件だけで判断すると、その物件の長所を過大評価しやすくなります。

条件の異なる複数の候補地を比較し、市場規模、競合、家賃、顧客との適合性を同じ基準で評価することが重要です。

候補地の数よりも、同じ評価基準で比較できているかが大切です。

商圏は何キロメートルで設定すればよいですか

一律に決めることはできません。

徒歩型、駅前型、車利用型、目的来店型など、業態によって商圏は変わります。

距離よりも、徒歩や車で何分かかるか、生活動線上にあるかを基準に考えます。

競合が多い地域には出店しない方がよいですか

競合が多くても、市場規模が十分に大きく、自社の差別化が明確であれば成立する可能性はあります。

反対に、競合が少なくても市場が小さければ、出店には向きません。

競合数だけでなく、市場規模と競合の強さを合わせて判断します。

家賃は売上の何%までが適正ですか

業種、原価率、人件費率、店舗規模によって適正水準は変わります。

売上比率だけで判断するのではなく、家賃を支払うために何日分の売上が必要か、その他の固定費を含めて利益が残るかを確認します。

小さな会社でも出店戦略は必要ですか

むしろ、経営資源が限られている企業ほど必要です。

大企業のように失敗を複数店舗で吸収できないため、出店前の判断精度を高めなければなりません。

勝てる地域と顧客を絞り、経営資源を集中することが重要です。

既存店にも出店戦略は使えますか

使えます。

既存店の商圏、市場規模、競合、家賃負担、認知率、選ばれる理由を見直すことで、売上停滞の原因を整理できます。

移転、改装、業態変更、追加出店を判断する際にも有効です。

出店を成功させるために

出店は、物件を契約した時点で多くの条件が固定されます。

立地、家賃、店舗面積、商圏、周辺競合は、開業後に簡単に変えられません。

だからこそ、出店前に考えるべきことがあります。

その地域に十分な市場があるか。
競合が多すぎないか。
固定費を無理なく回収できるか。
その地域のお客様から選ばれる理由があるか。
競合が増えても利益を維持できるか。

明鏡堂は、立地戦略・ブランド戦略・競争戦略を一体として設計し、出店することではなく、その地域で長く利益を生み続けることを目指します。

出店候補地の判断、既存店の商圏分析、多店舗展開のエリア選定、店舗ブランドの見直しなど、出店に関する課題をお持ちの方は、明鏡堂へご相談ください。

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