はじめに

株式会社明鏡堂では、地域のコミュニティや事業者様の強みを整理し、ターゲットに価値を正しく届けるためのデザイン・広報支援を行っています。

今回ご支援したのは、大阪・天満を拠点に活動する「なにわ天下茶屋そば打ち倶楽部」様(以下、倶楽部様)。自主制作された部員募集チラシをベースに、既存のそば打ち体験施設「天満つくし」との明確な「コンセプトの分業」をご提案。ターゲットの心理に先回りしたリデザインと、GoogleフォームおよびGAS(Google Apps Script)を活用したデジタルシフトをトータルで実施しました。

抱えていた「3つの課題」

倶楽部様の制作されたチラシは、活動の紹介に重点が置かれたもので、必要な情報は一通り掲載されていました。

ただし実際の運用の前段階でいくつかの課題が上がり、倶楽部の魅力が一層伝わるようにするためにチラシの見直しを実施することとなりました。

1. 既存サービス(天満つくし)とのコンセプトの混同

自主制作いただいたチラシ(一部加工)

倶楽部様は、そば打ち体験店「天満つくしD-wish」でのチラシ配布を予定されていましたが、元のチラシは「そば打ち体験教室」という文言が強調されており、初心者向けの「天満つくし」とターゲットや目的が混同し、競合しかねない状態でした。

  • 天満つくし(体験目的):講師のサポートを受けながら、まずは「体験自体」を楽しむ初心者向け。
  • そば打ち倶楽部(趣味目的):誰の力も借りず、自分の力で美味しいそばをゼロから完成させる本格的な趣味・コミュニティ。

2. メッセージ性の不足

メインコピーが「美味しいそばを本格的に打ちませんか」という一般的な表現に留まっており、本格派が惹かれる「精神の集中」や「そば打ちを一生の趣味にする魅力」が伝わりにくい状態でした。

3. 電話受付による高い心理的ハードル

申し込みが担当者への直接電話のみとなっており、多忙な担当者にも、また応募者にとっても負担が大きい導線になっていました。

解決へのアプローチ:お客様の視点に先回りした設計


【表面】「部員募集」への舵切りと「お試し参加」の仕組み

これまでの「そば打ち体験しませんか」から「部員募集」へと目的を明確化。誰の手も借りずに打てるようになる本格的な倶楽部の魅力を、精神を集中させる美しいビジュアルで表現しました。

また、いきなりコミュニティに加入する不安を和らげるため、「練習会へのお試し参加ステップ」を新設。「そば好きならどなたでも大歓迎」と敷居を下げ、日時や持ち物などの必要情報をスマートに整理しました。

【デジタルシフト】電話受付から「Googleフォーム+GAS」への移行

今の時代、見ず知らずの場所に直接電話をかけるのは応募者にとって心理的負担が大きく、不親切です。 そこで専用の「Googleフォーム」を構築し、チラシにはQRコードを掲載。さらに、送信と同時に担当者へ通知が自動配信されるようGAS(Google Apps Script)によるシステムを組み込みました。

事前に「利き手(右・左)」などの必要事項を確認できるため、道具の準備もスムーズになり、担当者が電話対応に追われることのない「誠実でスマートな受付フロー」を実現しました。

【裏面】情緒的なストーリーと既存メンバーからのメッセージ

新たに設計した裏面には、倶楽部の歴史(2007年発足)や、そばの見聞を広げる日帰り旅行の様子を掲載。 また、関西圏の参加者が多いため「大阪は実はそば屋発祥の地」という地域文化と融合させたコラムを執筆し、既存メンバーからの「あなたも一緒にやろうよ」という情緒的な歓迎メッセージで背中を後押ししています。

完成したチラシ

新たに制作したチラシ
新たに制作したチラシ

クライアントの反応とこれからの展望

新しいチラシデザインとデジタルフォームを確認したクライアント様からは、「手作りのPowerPoint案から見違えるほど洗練された」「自動返信のおかげで事務のミスや負担が劇的に減る」と、実用面も含めて大きな納得の声をいただきました。

6月中旬には大阪(天満)での対面打ち合わせを行い、7月の練習会からさっそく新規の体験申し込みをこの新導線で受け付けるなど、順調なスタートを切っています。

まとめ

本プロジェクトは、単に美しいチラシを作るデザイン支援ではなく、「天満つくしとの明確な棲み分け」という広報戦略の整理から、「お試し参加」という応募者心理に寄り添った導線設計、そして「デジタルシフト」による運用の仕組み化までを一貫して行った、明鏡堂ならではの実績です。

※ご注意事項 本記事に掲載しているチラシ画像およびテキストに関しましては、関係者様のプライバシー保護の観点から、具体的な個人情報や連絡先にはすべて伏せ字やモザイク処理を施しております。

投稿者プロフィール

Takuya Mekaru
Takuya Mekaru
代表取締役/マーケター/コンサルタント
同志社大卒、大手コンサルティング会社でマーケティングの実務に携わる。
現在は事業開発とマーケティングを中心としたコンサルティング支援を行う。